9月に入った途端、朝方が少し涼しくなりましたね。このまま秋口の状況になっていくのかはしばらく様子見が必要です。
さて、日中は相変わらず30度を超える暑さがまだまだ続くでしょう。そこで、今回は・・
猛暑が続く夏のギックリ腰
10年ほど前のことです。やはりその年も暑い日々が続いていました。この年の夏に最も多かったのが実は「ぎっくり腰」。
とにかく、毎日のようにぎっくり腰の方から緊急の連絡が入り、なぜこんなに多いのだろうと感じていました。
ある女性は、お孫さんの面倒をよく見ていたのですが、ふと目線を上に向けた瞬間に「ウゥッ！」
普通、ぎっくり腰を起こす時は、何らかの動作の最中に来るものですが、この方は視線を少し上げただけ。実はこれも動作の一つです。これまでも、声をかけられた方向に顔を向けた瞬間に来てしまったケースもありました。
腰痛が起きた直後はその痛さで全身が固まってしまい、ある程度の時間が経過した頃に少しずつゆっくりと、まるでぎこちないロボットのようにして動き始めたそうですが、その日はあまりの痛さでただ横になっているだけだったそうです。
翌日も痛みがあまり引かないため、辻堂にある私の整体室に以前から通われている、お友達の鵠沼のNさんのことを思い出し、電話で相談したところ、「予約を取っておくので、私が車で拾ってあげるから一緒に行こう」と誘われたそうです。
Nさんには、少しでも腰が楽になるために、「ギックリ腰の体操」の手順を伝えました。うまくできたかどうかはわかりませんが、少し楽になって動けるようになり、その足で操法室にいらっしゃり、帰りはスタスタと何にも無かったように操法室を出て行かれました。
腰が入らない構えがギックリ腰の前提となる
どの方にも共通していたのが、普段から上半身の負担をかけていたことです。
この女性は、普段からお孫さんの面倒を見ていたこと。小さいながらも赤ちゃんを抱き上げると、意外にも重いため、腰が入らない構えでは上半身に力が入ってしまい、肩が前に巻き込んできます。
こうなると腰が利かず、逆に上体を腰で支える力が弱まるため、ますます上体だけでの動作となることで、さらに腰の弾力が落ちていくという悪循環に入ってしまいます。そして、そうした状態がさらに続けば、その時はいつ起きてもおかしくなく、視線を上に向けた瞬間にスイッチオン。
この方以外も、普段から腕仕事をしていた方が多く、皆さん上半身に入った力が抜けず、腰が利かずにいたことが多かったのを覚えています。
体温前後かそれ以上の暑さが続くことでギックリ腰が多発
ただ、なぜ夏の暑い時期にこれだけギックリ腰が多発したのでしょうか？
最近の夏もそうですが、夏の暑さが半端ではありません。前回も書いたように、ようやくエアコンを終日使う方が増えては来ていますが、10年前はまだそこまで多くはなかったようです。
多少の暑さなら問題はないものの、体温に近い気温やそれ以上に上がっている中で、さらにそれが毎日のように続いてくると、体は緩むどころか防御のため硬直してきます。
そうした状況下で、上半身に力が入る仕事や生活が続いていれば、ぎっくり腰を起こすための準備が既にできてしまっています。そして、目線を上に向けただけで・・
確かに腰の痛みはつらいですね。慢性的な腰痛はそうはいかないのですが、急性の腰痛であるギックリ腰は操法的には意外と簡単です。
ギックリ腰の場合、力のかかっている腰に本人の力を使って、一度腰に負荷を加えることで緩むことが多く、この夏の腰痛は面白いようにその場で楽になったことを思い起こされます。
また、操法ばかりでなく、整体法の体操でも痛みが消えてしまったケースもありました。
股関節体操だけで楽になった？
時々来られている舞台の大道具の仕事をされていた方が、東京にたまたま出張に来た際にギックリを起こしたとのことで、予約なしで現われました。せっかく訪ねて来られたので、すぐに見て差し上げようと思いましたが、重症というほどではなかったし、仕事上また引き起こすこともあるので、むしろ自力での体操を覚えてもらった方がいいと思いました。そして、ある体操を指導したところ、あれほど痛がっていたのがウソのように痛みが和らいでしまいました。
その体操は「股関節体操」でしたが、この体操がうまくできることで腰の痛みが軽減するケースがかなりあり、またこれを続けることで弾力のあるしっかりした腰を作れるので、今でもよく指導している体操の一つです。
「腰湯」で腰を緩める
また、「腰湯」という半身浴もお勧めです。
適温かやや熱めのお湯に、お腹の真ん中辺りまで5分程度浸かるだけです。この部分浴は腰を中心に緩むので、体操がわからなかったり、またうまくできない方は試してみてください。
以前、この入浴法でぎっくり腰が治ったと、歌手の美川憲一さんがテレビの番組で話されていましたが、それ位効果のある部分浴です。